日本で登記した企業は日本の企業なのか?
Update: 2025-04-03
※ 所属する労働組合の掲示板に投稿したものをこちらにも掲示します。
政治献金について、企業献金を認めるかどうかについて憲法の解釈などが課題となっています。
先に一言で私の結論を書いておくと、日本で日本語名で(カタカナでもいいけど)登記された企業が日本の企業だとするのは、リベリア船籍の船がリベリアの船だととらえるのと五十歩百歩の形式的な考え方です。
その中の一つの視点としてですが、日本国籍を持たない人による政治献金は禁止されています。国政の主権者ではないからです。それを認めてしまうと、例えばイーロン・マスクが日本の政治団体に献金できてしまいます。なお、「国政の」と限定的に書きましたが、永住権を得ていたり住民登録をしたりしている外国人に地方自治体の選挙権などを限定的に認めるかどうかは議論としてあり得ます。実際にそうしている国もあります。
では、日本の国政の主権者とはどの範囲を指すのか、ですが、憲法学者たちの間の一番狭い解釈としては、法人は自然人ではないから主権者とはできない、というものです。私自身もその立場を取ります。実際、現状の法制でも選挙権や被選挙権は認めれられておらず、限定的な活動しかできません。単純に自然人と同様に主権の行使を認めるという考え方は常識的にも受け入れられていないと考えていいでしょう。しかしながら、法人の政治活動をまったく認めないというのが法学の通説というわけではないようです。では次に、実態としてどの範囲が日本の企業なのかが問題になるだろうと考えてみます。
日本で株式会社等を登記するにあたって、所有者(株式会社であれば株主)が日本国籍を持つこと、もしくは、日本国籍を持つ人が過半数を占めること、もしくはそのような他の事業者を含めて過半数であること、というような制限は一部の例外を除いてありません。例外は「航空法」「電波法」「放送法」「NTT 法」などで定められているそうです。
では、例えばテスラの日本法人「Tesla Japan合同会社」は法人番号: 8010401087388 で登記されてる未上場の会社ですけれど、これは日本の会社でしょうか?手続き的には日本の法人です。リベリア船籍の船がリベリアの船だというような意味でそうなります。しかしながら親会社の株の 13%はイーロン・マスクが持ち、残りの株主に日本の人や組織も含まれないわけではないでしょうけれど、少なくとも半分を超えることはなさそうです。この会社に日本の会社として日本での金銭の出費を含む政治活動を認めるべきでしょうか?
テスラは極端な例として出していますけれど、私たちの業界でも米国の軍事を含む政府機関と密接な関係を持った IBM の日本法人というものがあります。日本 IBM は非上場のため米国の本社の直接的な支配下にあるというのが常識的な見方かと。また、今でも「日本製の」スマホや家電などを作っているシャープの株は現時点(2025 年 4 月 2 日)で 57.32% を台湾の鴻海の系列企業が持っています。これらは日本の企業でしょうか?
その他の大企業も、直接・間接に外国人もしくは外国の企業が株を持っています。最近はファンド等を通じて株を所有するケースが増えているため、もう、実態はわからないしとにかくいろいろ混ざっているのだろうと考えるしかない状態です。このあたりを数値化しようとしてあきらめた研究者もいらっしゃるようです。 おそらく、名の通った上場企業で 100% 純ジャパはあり得ないでしょう。
なお、私自身は、資本のグローバル化は経済の法則で止めようがないし、現状でも制限されているような基幹産業を除いて制限する必要はない、というか、無駄な抵抗だと考えています。トランプは高関税で貿易を止めようとしていますが、資本の動きは止めていません(たぶん、今のところ)。むしろ消費国への資本の流入は増える結果になるかもしれません。あと、ついでに、私はスマホの中ではシャープの製品を一番信用しています。
さて、リベリア船籍の船がリベリアの船だするのがどのくらい形式的かというと、モンゴル船籍もあり得るというレベルです。他にもボリビア船籍というのがあり得るようです。ボリビアの場合はチリに太平洋沿岸地域を奪われたという歴史的な経緯があり、まだチチカカ湖に海軍を維持していて(涙)、海にこだわりがあるのは理解できます。しかし、モンゴル船籍で外洋の運行ってどないやねんと思うのですが、形としてはあり得るそうです。