みちのぶのねぐら

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天然ガスでガスタービン発電

Update: 2011-04-19

火力発電って、石炭や重油を使ってお湯沸かしてやるものだと思い込んでいたのですが、ガスタービンというものがあるのですね。熱効率を例えば 10% 上げるとして、それがどのくらいたいへんなのかは文系の私にはよくわかりません。でも、電力需要を固定の値と仮定すると、効率が上がる分二酸化炭素の排出が減ることくらいは理解できます。 Web上の記事をいくつか見てみた感じでは期待できそうです。

火力発電で10数%の二酸化炭素排出削減できたりすると、温室ガス排出の削減の課題の消化にずいぶん効果があるように思います。こんな話をすると「そもそも化石燃料は××××」みたいなこという人がいますが、二酸化炭素排出を「無くす」なんて国際目標も国家目標はありませんから、設備を新しいものに置き換えて、減らしたのでもいいのです。

燃料や発電方式の他に、排出する二酸化炭素を捕獲する技術についても知りたいのですが、今回はそこまでは調べていません。

1. 天然ガス

電気事業連合会の 【でんきの情報広場】「ガスタービン発電 」によると、 燃料は灯油、軽油、LNG ( 液化天然ガス ) などで、「身近なガスタービンには、飛行機のジェットエンジンが」あるのだそうですが、身近か?空の上の話ではないか?それはおいといて、ガスタービン発電では主にLNGが使われているようです。

石油(灯油、軽油、重油など)とLNGをそれぞれ燃やして、同じ熱量得た場合に発生する二酸化炭素の量を比べると次のようになります。

算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧 http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/material/itiran.pdf

別表2 燃料の使用に関する排出係数
灯油 : 0.0185 tC/GJ
軽油 : 0.0187 tC/GJ
A重油 : 0.0189 tC/GJ
B・C重油 : 0.0195 tC/GJ
液化石油ガス(LPG) : 0.0161 tC/GJ
液化天然ガス(LNG) : 0.0135 tC/GJ

単位を見ると炭素の量になっていますが、これに 44/12 を掛けると二酸化炭層の量になります。係数を比較するだけならどちらでもいいです。石油(灯油、軽油、重油)と比較すると、同じ熱量で発生する二酸化炭素の量は 30% 近くお得、同じ量の二酸化炭素の発生する熱量は 40% 近くお得、ということになります。

天然ガスは、石油ほど産出国が偏っていなくて供給が安定しているそうです。主要な産油国がヘソ曲げたり中東で戦争が始まったりしたら、いきなり足りなくなったり値段が上がったり、という心配が少ないということです。

日本にも少しはあります。国産だけで需要をまかなうことはできませんが、現在の主要な産地である新潟の他に、千葉県など関東南部にそこそこの量があります。

房総ガス協議会 千葉県産の天然ガス のページによると、 「千葉県を中心に広がる南関東ガス田には、約 7,000億 立方メートルのガスが存在すると推定され、可採埋蔵量は約 3,500億 立方メートルともいわれてい」るのだそうです。もっとも、人工密集地でかつ、もともと低い土地の地盤沈下というリスクがあるので、この「可採埋蔵量」がどのくらい本気で「可」なのかはわかりません。

2. 熱効率

東京電力の 火力発電のページ によると、 従来型のLNG発電は 43.2% の熱効率、ガスタービン発電と、ガスタービンの余熱を利用して蒸気タービンを回す仕組みを組み合わせたコンバインドサイクル発電 ( CC発電 ) で 47.2% の熱効率だそうです。メカニズムはよくわかりませんが(温度が上がった分膨張するからかなぁ)、ガスタービン入口温度を上げると熱効率が上がるのだそうで、1100 〜 1300 ℃ で 54 〜 55% の熱効率、1500 ℃ で 約59% の熱効率と、方式によって 数% の差が出ます。

3. 小型発電設備から巨大な発電所まで

ガスタービン発電設備の小型なものは、分解して船で輸送することができるようです。

asahi.com 東電に発電施設丸ごと貸し出し タイから船で運搬 ( 2011年3月29日22時45分 ) によると、 タイが非常用のガスタービン 2基を送ってくれるとのことですが、合計24万4千 kW って大きいな。

比較のために、原子力発電所の能力は、東京電力 原子力情報 > 福島第一原子力発電所 > 発電所の概要 によると、 福島第一原発 1号機が 46万 kW 、2 〜 5号機 が 78万4千 kW 、6号機が 110万 kW です。 1号機の半分くらいの能力です。小型の例のつもりだったんだけど。。。この発電設備を船便で輸送できてしまいます。

ガスタービン発電の大きなものはというと、例えば、東京電力の千葉火力発電所の場合、 三菱重工 > 製品情報 > エネルギー > GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル発電) によると、

144万 kW って、福島第一原発 6号機より大きいじゃないか。

4. 特徴・用途

他の発電方式は、需要に合わせて発電量を増やしたり減らしたりするのが難しいのですが、ガスタービン発電は起動したり止めたりが比較的容易です。

日経新聞 テクノロジー > 技術×企業(日経産業新聞online) > 脱・炭素社会 > 記事 ガスタービンに春到来の予感 ( 2011/3/7 7:00 ) によると、風力や太陽光などの不安定さを補完するために使うことができます。

それから、設置が容易です。タイから送ってもらう設備の場合、 8月ごろめどに稼働開始だそうです。これとは別に新設も検討しているようです。震災後 1週間たたないうちに方針を発表しています。

毎日.jp 東電:ガスタービン発電所を新設 藤本副社長が方針 ( 2011年3月17日 22時42分 )

この記事では、今年の夏の電力不足の対処にガスタービン発電を充てる理由として、以下のことを挙げています。

「逼」なんて漢字、手では絶対書けないなぁ。

5. 費用

設置費用は、原子力発電所 ( 数千億円 ) にくらべて一桁少ない額で済みます ( 数百億円、上記の日経新聞「ガスタービンに春到来の予感」2011/3/7 7:00 ) 。

運転費用はというと、2005年運転開始発電所の発電コスト比較(1998年OECD・NEA/IEAの予測) (01-04-01-08) によると、

表5 2005年の運転・保守コストの予測(日本)
原子力 109.50 米ドル / 正味電気出力(kWe)・年
石炭 81.33 米ドル / 正味電気出力(kWe)・年
ガス 51.11 米ドル / 正味電気出力(kWe)・年

ということで、他の方式よりお得ですが、それはいいとして、日本の原子力発電、多の国に比べて高くないかな? まあ、そのようなわけで、日本ではずいぶんお得です。

いや、あれ? 原発のコストって? この資料は別に今回の震災の影響など考慮するはずもない1998年のものなんだけど?