海兵隊の広い役割
Update: 2010-05-30
普天間基地移転に関連して話題になる在日米国海兵隊の役割について調べてみました。
資料
- 在日米国海兵隊ホームページ
- 第3海兵遠征軍コマンド・ブリーフ2009年10月(宜野湾市)
- Wikipedia 英語版 : United States Marine Corps
- Wikipedia 英語版 : Organization of the United States Marine Corps
Webで容易に閲覧できる一般向けの資料にざっと目を通して言えること、わからないのはわかりたくない人だけだろうということがあります。在日米国海兵隊の行動範囲は 日米安保条約 に記された米軍の駐留の目的を超えるものとなっています。
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。 以下、その概要を記します。
強襲揚陸艦で敵地に乗り込むことを主な任務の一つとしているこの軍隊が、そもそも防衛のためのものなの?というところまでは、以下の文章では踏み込みません。資料「3.」の "... responsible for providing force projection from the sea, ..." の "force projection" がどういう意味かなど調べていただければいいでしょう。
ただ、本題に入る前に一つだけ。日本の防衛のことについてネットでいろいろ見ていると「竹島や尖閣諸島に海兵隊(もしくは米軍)がいれば」みたいなこと書いている人がいますが、韓国も台湾も米国の重要なパートナーです。そんなことに米国が自分の軍隊を使うわけないです。もっと言うと、台湾、つまり、中華民国は第二次世界大戦の日本に対する戦勝国です。そこで米国が日本の味方についてくれるなんて、昼間っから夢見てんじゃねぇ、という話です。それに、海兵隊に籠城戦させてどうすんのよ。
1. 海兵隊の概要
米国の軍隊は、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊の5軍で構成されます。これらのうち、陸海空と海兵隊の4軍が国防総省に所属します。国防総省の海軍省の下に海軍と海兵隊があります。
海兵隊の編成は "flexible" なもので、私には正確に理解できません。以下はかなりおおざっぱな話です。
海兵隊には次の3つの海兵遠征軍があります。
- 第一海兵遠征軍:カリフォルニア -- つまり太平洋側
- 第二海兵遠征軍:ノース・カロライナ -- つまり大西洋側
- 第三海兵遠征軍:沖縄 キャンプ・コートニー
沖縄に駐留するほとんどの海兵隊員は第三海兵遠征軍に所属します。第三海兵遠征軍は、沖縄以外に、岩国とグアムとハワイにいます。韓国とキャンプ富士(静岡県御殿場市)にも少しいるようです。キャンプ富士は自衛隊も使っている東富士演習場にあります。第三海兵遠征軍のおおざっぱな担当範囲については資料「1.」の2頁を見てください。シベリアから中国、東南アジア、南アジア、マダガスカル島あたりまでの広い範囲です。そして、この範囲に不安定な地域が多数含まれます。
資料「2.」には「第三海兵遠征軍は、海兵隊の中で唯一の常時前方展開遠征軍であります。」と書いているのですが、私にはこの意味はよくわかりません。単に第一・第二海兵遠征軍と違って米国本国を離れた場所に常駐しているということを言っているだけなのか、それとも、日常の活動の内容が異なるのか、どちらなのかはよくわかりません。
2. 実績
在日海兵隊は、最近では中東に出動しています。例えば 5月26日のニュース では次のように記しています。
5月中旬、第3海兵遠征軍(IIIMEF)第3海兵兵站郡(3rd MLG)第9工兵支援大隊 (9th ESB)の海兵隊員たちが、「限りなき自由作戦」の支援でアフガニスタンに向かう前に、武器を取り出し、別れを告げた。
第三海兵遠征旅団は、「砂漠の嵐」作戦に参加しています。1991年の湾岸戦争のときのことです。
第31海兵遠征部隊は、「砂漠のキツネ」作戦(1998年、イラク)に参加しています。この部隊は「非戦闘員救出作戦、航空機及び人員のための戦術的回収任務、遠距離における強襲作戦等」他の部隊にはできない特殊作成を遂行することができます。
沖縄の日本復帰前、第三海兵師団はベトナムに行っていました。
3. 訓練
タイ、韓国、オーストラリア、フィリピンなどの国と、年間約70回の強度の訓練を行っています。これができるのは、米国本国を遠くはなれたこの場所に駐留しているからだということです。
4. まとめ
もう、なんというか、日本の基地を好きなように使ってくれています。