みんなの党は消費税率引き上げには反対なの?
Update: 2010-05-23
小さな政府を主張するみんなの党について、増税はやらないというイメージを持つ人は多いと思います。私も「少なくとも建前としては消費税引き上げとかは言わないのでは?」と考えていました。しかし Twitter で「政策はそうなっていない」とのつぶやきを見て、もう一度政策を見直してみることにしました。
1. 要するに増税するの?しないの?
まだ、新しいマニフェストやその原案は発表されていないので、2009年のマニフェストをもう一度読み直してみます。まず目につくのが次の文章です。
「世界一の少子高齢社会の日本で、将来的な増税を一切認めないという立場は、我々もとらない。」
国家公務員の大幅削減や、地方への行政機能の移管などの政策を実施しても、増税は避けられないということだと解釈できます。
2. 直接税と間接税
その増税が、直接税によるものなのか、間接税によるものなのか、もひとつはっきりしないのがこのマニフェストです。
「4.社会的弱者に配慮した所得再分配を強化する」では、所得の再配分について言及しています。高額所得者への直接税の課税強化を明確に書いています。先日参院選向けマニフェスト原案を発表した自民党ではほとんどあり得ない政策です。
社共のように「企業の側に立たない」とする政党の場合、間接税、特に今の消費税のように生活必需品を含めて課税する形のものは好ましくないとします。逆進性により、社会保障に頼らなければならない低所得者ほど実質的な負担が増えるからです。
この点について少し説明しておきましょう。
消費税をなくす会 Q&A のページに所得階層別の消費支出の割合のグラフが掲示されています。時間と気力があれば、元の統計から自分でグラフを作りたいところなのですが、今日は気力の方がないのでそのまま参照させていただきます。
年間所得 A. 140万円で消費支出の割合は 98.5%。ほとんど貯蓄や投資はできません。 B. 450万円で 65.4%、 C. 1380万円で 39.9% となっています。消費税の場合この消費支出全般に対してほぼ(完璧に?)漏れなく課税されます。消費税率 5% の場合について単純計算すると、A. 140万円でほぼ 5%、そのまま、 B. 450万円で約 3.6%、 C. 1380万円で約 2% の負担となります。
仮に消費税率引き上げと所得税減税とセットにしたとしても、B. など中位の層の負担がどうなるかは減税の率次第です。そもそも所得税を払っていないような低所得者層では純増です。所得税以外の固定資産税や投資にかかわる税を減税したとしても、低所得者にはほとんど効果はないでしょう。
逆進性を示すグラフは 会計検査院のWebサイトに掲示されている、中央大学法科大学院の森新茂樹教授の論文 「消費税の逆進性対策を考える」 p.12 にも載っています。
と、いうわけで、
- 消費税を福祉目的税にする
- 高齢化の対処のために消費税率引き上げが必要
とか言われても、私には「何わけわかんないことを?」としか思えないのです。
余談ですが、逆進税となる課税の典型は人頭税です。冗談みたいな話と思われるかもしれませんが、竹中平蔵氏は「これほど公平な税制はありません。究極の外形標準税ともいえる。」と主張されています。
『Voice』 2001年5月号 竹中平蔵・櫻井よしこ連載対談 目を覚ませ、日本人 第5回
3. あ゛、あっさり書いてた
で、ここまでみんなの党の政策そのものというよりうだうだと持論を展開してしまった後で申し訳ないのですが、2009マニフェストの最後のページにあっさり書いていました。
「「生活崩壊」対応や社会保障の財源のあり方を、所得税、消費税、相続税等を含め検討。」
他の政党やシンクタンクが消費税以外考えられないみたいなこと書いているのとは違いますが。。。